何か1つ力を身につけるためには、手順の理解をした上で繰り返し練習をしなくてはならないことが多いです。しかし、その練習も「意識」をしないでただ繰り返していても、なかなか向上しないことってありませんか?
「意識って・・・?何を意識するの・・・・?どうやって?」
たとえば筋トレをするとき、今はどの筋肉をどのように強くしようとしているのか、よいインストラクターならば説明をしっかりして、筋トレ中もそこに意識を集中するようにフォローするでしょう。形や型だけを見せるのではなくて、見せながら説明をして、意識の集中のしかたをまず説明し、それからトレーニング中にそれができているかどうかを、チェックするよう促してくれるでしょう。
ということは、自習をする時には自分自身がインストラークターになって(だからSI-ROOMのSIはself-instructionなわけで)自分を促さなくてはなりません。学習時間をたくさん費やしても、練習をたくさん重ねているつもりでも、どうも効果があがらない・・という場合は、まずそこを見直してみましょうか。どうやって学習していますか?何を考えていますか?どこに注意を払っていますか?何を意識していますか?
Note-takingの場合は、その道のりは長いです。まず注意事項は次のとおりです。
- 教材選び(レベルに注意):自分の今の能力よりはるかに難易度の高い教材を選ばない。スクリプトを読んでみて下さい。すらすらと辞書なしで読める、あるいは未知語が数語あるものの、内容は分る、というレベルからのスタートがよいでしょう。読めないものは聞けません!
- レベルにあった手順:できないことを、無理矢理し続けない
- 振り返り:やりっぱなしにしない。未知語の整理や構文、文法のチェックもしましょう
★教材選びや手順については、必要なら(中部大学の方は)SI-ROOM自主学習カウンセリングをお申し込み下さい。学外の方は、別途、メールなどでご相談下さい。
私がお奨めしているNote-takingの方法をご紹介しておきます。
- スクリプト(audio原稿)を見ずに、音声を止めずに、まず一度聞きます。テーマは何か、そのテーマについてどんな話をしているのか(main idea)は何かをとらえようとします。(意識その1)[特に上級者は推測力をここで発揮しましょう。ただし推測と憶測、妄想は違いますよ!推測にはそう推測するだけの理由づけが必要。]
- 2回目以降はaudioを止めながら、聞いてもよいです。特に初心者ほど止めましょう。何度も聞きづらい部分を聞き直してもOK。自分が母語で授業ノートをとるかのように、情報を整理してノートしていきます。ここではどのくらいきちんと整理できるかどうかが要。適当に情報をならべていると、情報と情報の結びつきが見えません。(意識その2)
- 情報が整理できてきたら、トピックが変わる(つまり段落が変わるということですが、audioだけでは段落の切り替わりは見えないので)ところまでで、区切りをつけましょう。
- ノートを読み返しながら、再度audioを聞きます。
- およそノートができたところで、スクリプトを読みましょう。自分のノートを見比べて、直すところはペンの色を変えるなどして修正。どの部分が、どのようなところが聞けなかったのかを確認し、その理由を考えてみます。(意識その3)
- スクリプトなしで、再度audioを聞き、修正箇所に注意しながらノートを確認します。修正した部分がきちんと脳に入ってくるかどうかがチェックポイント。(意識その4)
- ノートを完成。ノートだけを読み、どんな内容か把握できますか?(意識その5)
- スクリプトだけをリーディング。ノートとリーディングで得た内容は同じですか?(意識その6)
- しあげのリスニング。何もなしでaudioを聞き、7-8の内容がきちんと脳に入ってきますか?最終セルフチェックです。(意識その7)
- 未知語が多い場合は、単語ノートにまとめていきましょう。そんなことしなくても覚えていられる・・・というのであればここでは単語に集中しなくてもよいでしょう。
1〜9までにどのくらいの時間を要するかは、今のあなたのレベル次第です。もし時間がかかりすぎる、というのであれば、教材が難しすぎるのかもしれません。欲を出しすぎても、一生使える土台形成にはならないかもしれません。最初ほど時間がかかりますが、力がついてくると加速度も増します。最初ほど大切。ただし、慎重すぎる性格の人、自分を甘やかしがちな人は、時々チャレンジをして少し難し目の教材も触れてみましょう。
何も聞こえない!何も脳に残っていかない!という人は、まずスクリプトを見ながら聞く・・という手順に変えましょう。その場合は、手順2の前に「スクリプトを読む」(辞書もひきます)という手順を入れて下さい。スクリプトを読んだあとは、「スクリプトを読みながら聞く」です。その後に2からの手順をどうぞ。
単語力がなくて聞けない・・という人は、単語集をつかって、単語と例文をしっかりと入れながら(耳も意味もスペルも・・です)文法も同様。並行してNote-takingしてはどうでしょう。単語をやってから、文法をやってから・・でなくても、Note-takingはできます。というより、単語/文法は、読む/聞くをしながら行っていくことが私のおすすめです。